「せっかく3Dプリンターを買ったのに、思った通りに出力できない…」
これは誰もが通る道です。私自身も工具用アクセサリーを作る過程で何度も失敗しました。ですが、失敗には必ず原因があり、正しく対処すれば安定して出力できるようになります。ここでは、3Dプリンターでよくある失敗と私が実践している解決法をまとめます。
造形物の反り・剥がれ
一番多いのが「造形中に角が浮いてしまう」「土台ごと剥がれてしまう」という失敗です。
原因は、ベッドへの定着不足や冷却の影響。
対策として私が実践しているのは、スティックのりを使った定着強化です。
特におすすめなのが「シワなしピット G(PT-GAS)」。
これをベッドに薄く塗ってから造形すると、PLAでもしっかりくっつき、造形後はきれいに剥がれます。定着剤専用品もありますが、コスパと手軽さでこのスティックのりを愛用しています。
さらにABSを使う場合は、急激な冷却を避けることが重要です。冷却ファンを強く回すと一気に収縮して反りやすくなるため、ファンを弱めるかOFFにして、ゆっくり冷ますと成功率が上がります。
ノズル詰まり
フィラメントが出なくなり、造形が途中で止まってしまうトラブルです。
原因は湿気を吸ったフィラメントや、ノズル内のゴミ。
基本的に私はスライサーソフトの推奨温度をそのまま使用していて、温度設定はあまりいじりません。そのため、原因の多くはフィラメントの状態です。
対策としては、フィラメントを乾燥剤と一緒に密閉保管すること。
強度不足・層の隙間
造形はできたけれど、使ってみるとすぐに割れてしまう。特に工具用アクセサリーを作っている私にとっては深刻な問題でした。
原因はインフィル率や積層方向です。
対策はシンプルで、
- インフィル率を少し上げる
- 積層方向を工夫する(力がかかる方向に対して層を平行に配置する)
- 外壁(ウォール)の数を増やす(デフォルト2枚→3〜4枚にすると大幅に強度アップ)
外壁数を増やすと、中身のインフィルよりも直接的に強度に効く場合があります。実用部品では特に効果的です。
寸法が合わない
「モデリング通りのサイズで出力したのに、はまらない!」ということもよくあります。
これは収縮やプリンターのキャリブレーション不足が原因。
私は必要に応じて、Fusion 360の設計段階で0.2〜0.3mm余裕を持たせて設計しています。
表面が汚い・糸引き
仕上がりがざらついたり、細い糸がつながってしまう現象です。
スライサーでの設定を追い込みすぎると逆に不安定になるので、私は基本的にソフトの推奨設定を使うようにしています。それでも糸引きが出るときは、フィラメントを交換すると改善することが多いです。
まとめ
3Dプリンターは失敗して学ぶ機械です。
- 反り対策には「シワなしピット G」
- ABSは急冷を避け、ゆっくり冷却する
- 温度設定は基本ソフトの推奨値のまま
- 強度不足にはインフィル率・積層方向の工夫・外壁数の調整
- 寸法は設計段階で余裕を持つ
こうした工夫を積み重ねることで、安定した出力と実用的な製品づくりが可能になります。
失敗は避けられませんが、その都度改善していけば必ず上達します。
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